台湾を築いた明治の日本人
渡辺利夫 著
定価 |
本体1700円+税 |
判型 |
四六判 |
ページ数 |
260P |
ISBN |
978-4819113830 |
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発売日→2020年3月28日
なぜ日本人は台湾に心惹かれるのか
「蓬莱米」を開発した磯永吉。
東洋一のダムを築いた八田與一。
統治を進めた児玉源太郎、後藤新平…。
国家のため台湾住民のため
己の仕事を貫いたサムライたち!
明治のリーダーは私たちと何が違うのか
日本の台湾統治にエリート技師としての職分を存分に果たした八田與一と磯永吉
という二人の日本人の中に、私は明治の精神をのぞきみている。そして、第四代
台湾総督・児玉源太郎と、台湾近代化の基盤づくりのことごとくに総督府民政長官
として偉大なる貢献をなした後藤新平、この二人の思想と行動の中に、理性と
豪気をあわせもつ明治日本の指導者の原像を探っていきたい。(「はじめに」より)
アジアに造詣の深い開発経済学者が放つ群像劇!
主な内容
- はじめに
- 第一章 「台湾農業の父」は磯永吉
◎「蓬莱米を見届ける責任がある」
◎きっかけとなった米騒動
◎台湾農業近代化を求める訓示
◎末永仁の研究に魅せられる
◎蓬莱米開発の苦闘
◎内地種の意外な伸び
◎大日本帝国二位の栽培面積
◎台北帝国大学の「磯小屋」
◎四五年ぶりの帰国
- 第二章 蓬莱米が起こした「緑の革命」
◎八番目に創生された改良品種
◎忘れられた日本人・杉山龍丸
◎インド人青年の訴え
◎杉山家三代の宿命
◎なぜ野牛は炎天下で腹ばいになるのか
◎パンジャーブ州総督に会う
◎「あなたのような日本人は初めてです」
◎ユーカリ樹林帯
◎「蓬莱米は台湾だけのものではない」
- 第三章 台湾というフロンティアの夢
◎海賊集団には絶好の巣窟
◎もうひとつの日清戦争
◎「旧慣」と「自治」
◎不作、豊作は天の采配
◎未開のフロンティア・台湾
◎「人類ノ為メ 國ノ為メ」
◎バルトン、浜野弥四郎の「自利利他」
◎八田與一に白羽の矢を立てる辣腕長官
◎台湾の地政学的重要性
- 第四章 困難に屈しない技術者たち
◎荒涼の嘉南平原
◎「米と砂糖の一大供給地になる」
◎「不抜の信念があるか」
◎台湾の最大河川を利用しない手はない
◎八田工法の独自性
◎空中移動する削岩機
◎無間地獄か
◎「ハッタダム」の由来
◎優秀者に解雇通告
- 第五章 なぜ嘉南大圳は成功したのか
◎平原は一枚の緑の絨毯
◎烏山頭ダムの完成
◎「三圃制」の画期的な活用
◎犠牲者一三四名の殉工碑
◎技術者集団「南方開発戦士」
◎大洋丸の惨劇
◎遺体発見
◎子供たちに宛てた五枚の絵葉書
◎烏山頭に疎開した妻の最期
- 第六章 理性と豪気の児玉・後藤政治
◎後藤を長官に抜擢した児玉の直観力
◎「我が輩の方針は〝無方針〟である」
◎武装集団「土匪」をどうさばく
◎台湾に伝わる「保甲」
◎後藤思想の源流『国家衛生原理』
◎適者生存の理を究めよ
◎台湾銀行なくして開発はない
◎新渡戸稲造を動かした一言
◎後藤の行政手腕
- 最終章 英米は台湾統治をどうみたか
◎欧米の代表メディアが絶賛
◎中国は無法の島を手放しほっとしたのではないか
◎アヘン吸引者を減らす方法
◎我慢強く寛容な日本人
◎日本統治下の経済成長は「衝撃的」
◎台湾中等学校教科書『認識台湾』
- おわりに――「韓国反日 台湾親日」由来は何か
著者について
渡辺利夫(わたなべ・としお)
拓殖大学学事顧問、前総長、元学長。昭和14(1939)年、山梨県甲府市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。同大学院経済学研究科修了。経済学博士。
筑波大学教授、東京工業大学教授、拓殖大学教授を経て現職。専門は開発経済学・現代アジア経済論。(公財)オイスカ会長。日本李登輝友の会会長。平成23年、第27回正論大賞受賞。
著書に『成長のアジア 停滞のアジア』(講談社学術文庫、吉野作造賞)、『開発経済学』(日本評論社、大平正芳記念賞)、『西太平洋の時代』(文藝春秋、アジア・太平洋賞大賞)、
『神経症の時代 わが内なる森田正馬』(文春学藝ライブラリー、開高健賞正賞)、『アジアを救った近代日本史講義 戦前のグローバリズムと拓殖大学』(PHP新書)、
『放哉と山頭火』(ちくま文庫)、『新脱亜論』(文春新書)、『士魂 福澤諭吉の真実』『死生観の時代』(海竜社)など。