川瀬弘至 著
定価 | 本体2,200円+税 |
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判型 | 四六判上製 |
ページ数 | 448P |
ISBN | 978-4819113328 |
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発売日→2018年3月2日
病に陥った大正天皇の妃として、
皇室の安定に心を砕いた「国母」貞明皇后の数奇な生涯を、
新たな資料で語る決定版評伝!
貞明皇后―。聡明かつ気丈な国母だったと伝えられるが、その生涯をつづった文献は意外に少なく、貞明皇后の性格や言動、昭和天皇に与えた影響などについては、いまも謎に包まれているのが実状だ。
しかし平成二十八(二〇一六)年の秋以降、産経新聞の申請で宮内庁が順次公開した百冊以上の「貞明皇后実録稿本」(実録の草稿と編集資料)などを読み解くと、聡明よりも愛情、気丈よりも苦悩に満ちた、新たな皇后像が浮かび上がってきた。
明治、大正、昭和の三代を生きた貞明皇后が直面した最大の試練は、近代日本で初の摂政設置という事態に、どう立ち向かうかだった。夫である大正天皇の病気が悪化し、政府内に摂政設置の構想が持ち上がると、貞明皇后は強く反対。最終的に同意したものの、宮中の伝統慣習が時代の波に押し流されていくことを、何とか食い止めようとした。
一方で宮中の側室制度を事実上廃止し、一夫一婦制の礎を築くなど、近代皇室制度の確立に尽くしたのも貞明皇后だ。
その思想、その生涯を知ることは、まもなく平成三十一年に天皇陛下の譲位という、明治以来初の歴史的転換点を迎えるわれわれ国民に、大きな示唆を与えてくれるに違いない。
加えて、宮内庁が正史と位置づける『貞明皇后実録』を中心に、未公刊の新資料で明かされた側近らの証言を引用し、当時の宮中の内情をリアルに再現したのが本書の特色だ。
こうした資料から浮かび上がる六十六年の生涯を強いてひと言でいえば、波瀾万丈である。